糖分処方箋 甘味取り扱い説明書

● 頑張った人への神様からのご褒美

仕事やスポーツで体を酷使した時。困難な仕事や目標を無事達成できた時。心配事や悩みで頭の中が一杯な時。私たちは、疲れた時、ホッとした時、甘みが欲しくなります。疲れた心身に安らぎを与えてくれる貴重な糖分ですが、私たちは意外と知らないことが多く、間違った使い方をしていることが多いようです。

● やっぱり糖分の過剰は危険?

糖分は昔から健康の敵という意見もあれば、多大な恩恵をもたらすとの意見もあります。飢餓線上、すれすれの食料状況の時代であれば、恩恵だけが上回るのでしょうが、私たちが生きる今の飽食の時代、その選び方や摂り方ひとつで、健康状態は大きく左右されかねないのです。

白砂糖は体に良くない、三温糖、黒砂糖なら良い、ハチミツやメープルシロップ(かえで糖)、麦芽糖、米蜜、果糖の方がもっと良い。アステルパームやステビア、トレハロースはダメ・・・。健康にとって、ある意味両刃の剣の性質を持つ糖分には、諸説様々な考え方があるようです。

※単純に砂糖だけの問題ではありませんが、一般的に砂糖を摂り過ぎると、体がだるくなったり、眠気やしびれ、疲労感がとれにくくなったり、はては糖尿病、低血糖症、胃腸機能障害、神経症、ガン、アトピー、ぜんそく、リウマチ等の引き金になるともいわれています。

● 体にやさしい複雑な糖

お米などの糖質(デンプン・砂糖・ハチミツなど)は、細胞に取り込まれる際に、すい臓から分泌されるインシュリンというホルモンの助けが必要です。インシュリンがなければ、ブドウ糖は細胞の中に入れません。何千という糖の分子がつながった多糖類(ごはんやパン、麺類など)を食べると、体の中でゆっくり時間をかけて分解され麦芽糖(ブドウ糖+ブドウ糖)になり、最終的にブドウ糖になり吸収されていきます。この場合、すい臓は必要に応じて、インシュリンを用意していきますのでスムーズな流れとなります。

● 問題を起こしやすい単純な糖

ところが、ブドウ糖と果糖が2個くっついただけの単純な形の砂糖(蔗糖)は、あっという間に分解されてブドウ糖と果糖になります。清涼飲料水や缶コーヒー等の液体状の糖分は、すでにブドウ糖と果糖が分離しているので、砂糖よりもさらに吸収が早くなります。このような胃腸からすぐに吸収されてしまう糖分を大量に摂っていると、インシュリンが必要なブドウ糖も多くなり、すい臓は大慌てでインシュリンを放出しなくてはなりません。すい臓にとっては予定外のインシュリンの大量注文が入るわけですから、パニック状態に陥り、必要以上の過剰な放出をしてしまう事態に陥ります。その後は、反動で疲れ果てて必要なインシュリンを供給できない、枯渇状態、つまり低血糖へと陥る場合があるのです。

最近の子供たちの多くが、缶コーヒー、コーラ、ポカリのようなドリンク類を毎日大量に摂ることから、低血糖症になっているとの報告があります。体力がない、根気が続かない、イライラしたり、切れやすかったりするのも低血糖症の代表的な症状の一部なのです。そのままにしておくと、血糖値が上がったり下がったりを繰り返し、やがて糖への反応が鈍くなり、脳にも体にも糖分を十分いかない状態に陥っていきます。こうなると複雑な構造のタンパク質や脂肪、そして安全な御飯などのデンブン(多糖類)も、上手く消化できずに栄養不良になっていきます。

● 他人事じゃない!低血糖症

過激な玄米食や菜食、無茶なダイエットによる減量、病気や怪我で食事量が極端に減った。このような場合も、慢性的な低血糖症に陥る恐れがあります。長期にわたり低栄養状態が続くと、よほど食事内容を吟味しないと、食事を摂るたびにすい臓が過敏に反応し、急激にインシュリンを放出してしまい、ドカンと血糖値が下がります。低血糖に気がつかないでままでいると、原因不明の倦怠感や吐き気などにより、食欲はさらに低下していきます。不安や心配、緊張など、ストレスによる脳の過剰な活動は、さらなるブドウ糖の不足を招き、悪循環につながることも多いようです。

★ デンプンなら安心か?

ゆっくり消化されるご飯や、パン、麺類などのデンプンはブドウ糖が一列につながったものですので、すべてインシュリンを必要とする糖ばかりです。砂糖のように極端に血糖値を上げたり下げたりすることは少ないのですが、砂糖の2倍のインシュリンを必要とします。すい臓にやさしい食事を心がけるのであれば、絶対量を程ほどにすることが大切です!量が過ぎれば最後にはすい臓は疲れ果ててしまいます。玄米食を実践する方の多くが、この失敗を繰り返します。肉や卵、魚などを食べないので、必然的に米に比重が傾き、すい臓の酷使へとつながるのです。

糖を代謝するには、インシュリンだけでなく、莫大なビタミンミネラルや酵素を必要とします。すい臓に無理をさせないためにも、ご飯などの炭水化物の絶対量は程ほどに、生野菜・加熱野菜・果物・植物性タンパク・上質の動物性タンパク・海草・豆・発酵商品(味噌・醤油・ぬか漬け)など、幅広い栄養素の摂取こそ体にやさしい食事といえるのでしょう。

★様々な糖

●黒砂糖、三温糖、粗製糖、和三盆糖、グラニュー糖、角砂糖、氷砂糖、液糖
・上白糖と同じく、ブドウ糖十果糖の二糖類で、インシュリンを急激に必要とします。
●麦芽糖、米飴、もち米飴等
・ブドウ糖+ブドウ糖の二糖類で、ブドウ糖ばかりなので、インシュリン要求性の高い糖に入ります。
●蜂蜜は、これもブドウ糖十果糖ででき上がった二糖類ですが、品質の良いものほど果糖の比率が高く(6:4)、糖以外の栄養素も豊富で、糖害の比較的でにくいものです。
●黒砂糖は、残留農薬・重金属・アク成分などを含むものが多く、よほどの安全で良質な合蜜糖でなければおすすめしません。