グリセミック指数(GI)とは、食べてからどれくらい血糖値を上げるのかを0から100までの数値で表した炭水化物のランク付けです。GI値が高い食べ物は、急速に消化・吸収されるため、血糖値を急激に上げます。GI値が低い食べ物は、ゆっくり消化・吸収されるため、血糖値とインスリンの値をゆっくりと上昇させます。
血糖値は、血液中のブドウ糖の濃度をあらわします。血液中のブドウ糖が増えたままだと、糖化という、体にとっては都合の悪い現象が起きます。体をつくっているタンパク質と結びついて、その機能を失わせてしまいます。血管をつくっているタンパク質が糖化してしまえば、弾力を失い、古びたゴムホースのようにヒビ割れたようになってしまいます。ブドウ糖は、血液中から細胞の中に入れば、よいエネルギー源になります。血液中のブドウ糖を細胞の中に入れる役割をするのがインスリンで、膵臓から分泌されます。インスリンが血液中に分泌されれば、血糖値は下がることになります。
GI 値が高い食べ物は、血糖値を急激に上げるので、インスリンもたくさん分泌されることになります。高GI食品を多く摂れば、それだけインスリンを分泌する膵臓の負担が増えます。また、インスリンを使いすぎていると、だんだん効かなくなってきます。細胞がなかなかインスリンを受け入れてくれなくなってくるのです。
これに対して、低GI食品は、血糖値をゆっくりと上昇させるので、インスリンの分泌も穏やかです。膵臓の負担も軽いし、インスリンを受け取る細胞が鈍くなることもそれだけ少なくなります。
低GIの食事は、糖尿病(1型と2型)の人における血糖値と脂肪値を改善させることが示されています。また、低GI食は、ゆっくり消化・吸収される、つまり腹持ちがいいので、食べ過ぎることが少なくなります。このことは、体重のコントロールにも役立ちます。
ハーバード大学公衆衛生学部の最近の研究では、2型糖尿病と心筋梗塞などの冠状動脈心疾患などの病気になるリスクは、食事全体のGI値と深い関わりがあると指摘しています。1999年、世界保健機関(WHO:国連の専門機関)と食糧農業機関(FAO:国連の専門機関)は、工業国の人たちは、冠動脈心疾患や糖尿病、肥満などを予防するために、低GI食品を食事の基礎とすることを推奨しています。
食品のGIを決めるために、10〜50gの炭水化物を含む食べ物を、一晩絶食した10人の健常者に食べてもらいます。15〜30分おきに2時間かけて、指先から血液のサンプルを取ります。これらの血液サンプルで、2時間にわたって血糖値の曲線を描きます。曲線の下の面積が、計算され、試験する食品を食べたあとの血糖値の上昇の度合いをみます。基準食品(同量のブドウ糖)の曲線下面積で割って、100倍します。基準食品は、被験者の身体的相違の影響を減らすために必須です。10人のGIの平均が、食品のGIとして使われます。
食品のGIは、食品産業にとって重要な意味を持ちます。オーストラリアでは、すでにいくつかの食品には、栄養表示としてGI値が書かれています。WHOやFAOは、総炭水化物量とそのGI値を表示すべきだとしています。
低GIは、食後の血糖値の上昇が小さいことを意味する。
低GI食は、体重をコントロールする助けになる。
低GI食で、インスリンが効率的に働くようになる。
低GIは、糖尿病のコントロールを改善しうる。
低GI食品は、より長く満腹感を持続させる。
低GIは、身体的な持久力を長くしうる。