北海道新聞【写真】 2005/10/07 08:20

札幌の自然食品店、チーズの新製法開発 特許取得、牛乳臭さ薄くうまみ
札幌市西区の自然食品店「まほろば」(宮下周平社長)が、伝統的な製法とは全く異なる手順でつくったチーズを、道立食品加工研究センターなどと協力して開発し、製造法の特許を日本とニュージーランドで取得した。二十九日、試食会を開く。乳酸菌を加えず独特の新酵素で凝固させるため、牛乳臭さが薄く、うまみが出るのが特徴だ。

新酵素は、納豆菌と近いペニバチルス属の細菌が作り出し、牛乳に加えるだけで、三日間ほどでチーズ状となる。宮下社長が偶然発見して、二○○○年から同センターなどと特定を進めてきた。新酵素は欧州連合(EU)、米国など五カ国(地域)で、特許を申請している。

伝統的な製法では、乳酸菌で牛乳を発酵させた後に、子牛の胃から取り出す酵素を加えて固める。日本ではこの酵素を輸入しているが、牛海綿状脳症(BSE)の発生以来、欧州産は輸入禁止で、確保に苦労する業者が少なくないという。カビ類を培養した代替酵素を使う手もあるが、苦味を生じやすい。  ナチュラルチーズ造りの第一人者、共働学舎新得農場(十勝管内新得町)の宮嶋望代表は、新酵素を「輸入品を使わず『地産地消』のチーズが簡便にできる。味も和食文化にとけ込みやすい」と評価している。

製法の紹介を兼ねた試食会は、二十九日午後六時から札幌市生涯学習総合センター・ちえりあ(西区宮の沢一の一)で。会費は千円。問い合わせは同社(電)011・665・6624。
<写真:チーズの新製法の特許を取得した宮下社長(右)と試作品を手にする宮嶋代表>